Mussel Docking World

発汗、発光の末、発酵!をモットーに、音楽的な活動をする二人組、Mussel Docking (マッスル・ドッキング)のブログです。

カッフェー、喫茶店について

某所に掲載するためにしたためた短文。勝手にこちらに掲載します。
まだ某所には掲載される前なのにね。

『カッフェー、喫茶店について』

福田十二指腸、筆

Mussel Docking でボーカリストとして非難を浴びながら活動を続けるかたわら、時間を見つけると孤独を癒すために目に留まる喫茶店ないしカッフェーの扉を開くことにしている。
いわば喧騒から逃れるための駆け込み寺ならぬ駆け込みカフェである。
扉1枚を隔てて外界と通じており、出入りは自由であるにもかかわらず、店によっては明らかに異世の空気に満ちている。
有名なところでは、神保町「さぼうる」。レンガ壁のいたるところに書きこまれたおびただしい落書き。幾層にも重なった時間の欠片。安保反対、学生運動、バブルの日々・・・ 幾つもの時代が「さぼうる」を通り過ぎ、人々は移り変わっていった。しかし刻まれた言葉と共に話された言葉たちも音を失いながら今なお室内に満ちているかのようだ。こうして、「さぼうる」店内は異界となったのであろう。
同じ神保町でも(「さぼうる」的な喫茶店としては「ラドリオ」などがある)例えば「古瀬戸珈琲店」も好きな店である。Mussel Docking の歌(※)でも知られるカレーショップ「エチオピア」隣のビル2階に狭い階段でのぼり扉をあければ厨房の壁面にはコーヒーカップ
綺麗なカップで飲むコーヒーは格別であり、店内で流れる落ち着いた古典音楽は、古書店街で買ったばかりの書物を読むには最適である。私はしばしばこの店で、まだ聴いたことのない、これから私が作り歌うことになるであろう、そして隣でAlfredがギターを奏でることになる未知のメロディに思いを馳せながら、シフォンケーキを食すのである。
この一角にある秘境とも呼べるカッフェーを今日はご紹介しよう。
「古瀬戸」から徒歩1分の場所に立地するものの、店に至るまでに迷うこと請け合いの店、それが「Hinata-ya」。最大の特徴は手動で扉を開けるエレベーターで昇降すること。是非1度味わっていただきたい、珈琲を、そしてエレベーターでの昇降を。店内はビル階上であるため、陽射しが差し込む優しい空間であり、ジンジャーのリキッドなど
大変に美味である。
視線を東に転じ、JR武蔵野線京葉線東京メトロ東西線東葉高速線、京成線が交錯する千葉県船橋市西船橋駅下車徒歩1分の「南風堂」に焦点を合わせよう。この店は夜間の利用を推奨したい。ただし、夜10時までの注文はフードメニューが実に安価であることも記憶に留めておくとよいだろう。酒宴の後の酔いざましに使うも良し、ウイスキーを飲みながら無常を嘆くもまた良し。私は通い続けています。
同じ西船橋の駅構内に目を転じてみよう。数年前にJRエキナカ開発により開店した「西船珈琲研究所」はいつも混雑しているが、手軽に美味しい珈琲が楽しめる店であり、まだ開店後日は浅いが名店の雰囲気をまとっている。ただし最近伸び悩んでいる感もあるため、今後の奮起が期待される。
まぁ、こんなところである。

※ 「あの味、あの匂い、あの辛さ」で歌われている

平成22年9月10日、記。