Mussel Docking World

発汗、発光の末、発酵!をモットーに、音楽的な活動をする二人組、Mussel Docking (マッスル・ドッキング)のブログです。

6才のボクが思春期に少年から大人に変わるまで。

先日も記したように昨年の12月半ば以降、突如映画を多数見るような生活に突入している小生です。
昨日映画館で見たのは「6才のボクが、大人になるまで。」(http://6sainoboku.jp/)で、主人公の男の子が6才から高校を卒業するまでの12年間を描いた話です。
と書くと変哲なき一作のように思えるわけですが、この映画の「作り方」がふつうじゃない(普通じゃない、という邦題を持つ映画がかつてありましたが見たことはありません※1)のは、彼とその家族(といっても、安定的、固定的な家族の形を有した関係ではないのですが)の12年間を、俳優4人(主人公とその父、母、姉)が「実際に生きている12年間」そのものとして描いている点にあります。
主人公の子役を俳優Aが演じ、青年期をBが演じる、という手法が多く採られますが、この映画は長い時間をかけて*1撮影されていますので、4人の体型がどんどん変わっていくのです。子供たちだけでなく大人も変わります。老化というと大げさですが、老けていくわけです。
内容はドラマティックなものではなく、物語は淡々と進んでいきます(正直、たまにacuviが出ます)。
そして、12年間がそれなりに長い時間をかけてスクリーンに映し出されるのです。
この長さは人生の長さを、「思春期に少年から大人に変わる」までの時間の長さを表す(画面が切り替わると突如大人になっている、という「ニューシネマパラダイス」とは違うのです!)ために必要な長さなのです。

さて、先日私が見た映画の中に、「シンプル・シモン」というスウェーデン映画(http://www.simon-movie.jp/)があります。直前まで見る予定はまったくなかったので、ほとんど偶然見たともいえる作品なのですが、期待していなかった分、乾いた砂の奥底に水が浸透するかのごとく、心の奥にまで浸みこんできました。監督のアンドレアス・エーマン氏は1985年1月24日生まれの29歳(あと6日で30歳!)という若さで、この作品が初の長編映画ということですので、今後の期待が高まります。
「チョコレートドーナツ」(http://bitters.co.jp/choco/)という、ゲイのカップルとダウン症の少年が登場する映画を見ようと思い、上映劇場を探索していたところ、飯田橋ギンレイホールで上映するということを知り、Yeah!見に行こう!ってんで、上映開始時間を調べたところ、確か20時頃とやや遅めで、この劇場は2本の映画を繰り返し上映する2本立て方式だったので、当初は目的作品「チョコレートドーナツ」の上映開始にあわせて劇場に行こうかと思ったのですが、いや待てよ、人気作らしいから良い席を確保するには、同時上映の映画開始時間に行ってその映画も見ておくことでナイス・シートを確保しよう!という作戦に切り替えたのです。
こういう経緯で見たのが、「シンプル・シモン」でしたが、少し前に見た「インターステラー」が星から星へと移動する壮大なストーリーなのに対して、こちらにも宇宙や惑星が登場し、しかも主人公の特質を表すのに重要な役割を果たしているものの、物語に登場する主要人物は、アスペルガー症候群のキュートな青年と、その兄、恋人、他数名だけで、身の回りの普段の生活の中で起こる出来事(どこにでもある、恋人間の温度が高まったり下がったり、といったような出来事など)を描いた作品でした。
先述の通り、この作品にはインパクトを受けました。
スウェーデンのポップ・ミュージックが全編を彩っており(音楽がポイントという意味では同時上映の「チョコレートドーナツ」も同じで、あちらは物語の根幹をなすほどに重要なモチーフでした)、気まぐれな他者に戸惑う登場人物の青年期特有の日常生活におけるモヤモヤとした様々な感情の苦みを薄めてみせる効果があるように感じました。
この2作品をバンドルで同時上映したギンレイホールの担当者の方には拍手を送らせていただきます(勝手に)。

■映画館で見た作品


■レンタルDVD等で見た作品

昨日は、ルパン、6才の、グランド、と、
テレビ放送分の録画、映画館、ブルーレイと、
3つの異なる方法、異なるチャネルで、3作品を堪能。
まさに、ムーヴィー・デイでした。
特にDVD等で見た作品の顔ぶれからわかるとおり、ライムスター宇多丸氏の「ウィークエンドシャッフル」における映画時評コーナー、「ムーヴィー・ウォッチメン」や、前身の「ザ・シネマ・ハスラー」で取り上げられた作品からチョイスしているものが少なくありません。
作品を見た後で復習を兼ねて宇多丸氏の論評をリッスンする、というのが映画作品の楽しみ方の1つになったという寸法です。


※1:「普通じゃない」についてWikipediaでは以下のように記述されていました。

『普通じゃない』(A Life Less Ordinary)は、1997年製作のアメリカ映画。ダニー・ボイル監督のハリウッドデビュー作。しがないビルの清掃員と、ひょんなことから彼に誘拐された社長令嬢の恋の行方を描く。日本公開時のキャッチコピーは「誘拐 脅迫 強奪 カラオケ 人が愛のためにやること。」。

引用元:Wikipedia

なお、主演はユアン・マクレガー、共演はキャメロン・ディアスです。ユアンは前年に「トレインスポッティング」で人気を博していた時期で、キャメロンは数年前に「マスク」でジム・キャリーの相手役としてデビューした人気の若手女優でしたね。
嗚呼、懐かしの90年代後半!
なお、キャメロン・ディアス出演作では翌1998年の「メリーに首ったけ」が相当面白く、サントラCDを購入しました。
下品なギャグが登場する作品ですが、アメリカでは若手人気女優がこんなギャグ(彼女がギャグを放つわけではないのですが)がフンダンに出てくる映画で主演を張るんだなぁと、我が日本ではあまり考えられない(園子温監督作などは別ですが90年代後半当時はそういう作品はあまり存在しなかったのではないでしょうか)ことだったので、衝撃的でした。

*1:12年!たとえば12年前といえば2003年の1月、私は何をしていたかというと、まだ Mussel Docking は結成していませんでしたし、今同居している2人の人とは出会ってもいませんでした。2人のうち1人はまだこの惑星の住人ではありませんでした。また、現在働いている組織にもまだ所属しておらず、それどころか、その前の前の前にあたる企業で働いていたのです。今はもう亡くなってしまった何人かの大事な人がまだ元気だった時代です。それが今から12年前の2003年。私は元気ではありませんでした。ドン底に突入していくような、そんな時期だったはずです。時期的には Mussel Docking 結成、そして初ライヴを行う頃に、ようやく心理面の調子が上向いていったのだと思います。