思い起こすこともなく、意識を向けることもなく

情報を、人はいくらでも好きなだけ捕まえることができる。
しかし、いくら採集しても、情報は圧倒的な量で流通していて、採り尽くすことはできない。
自分にとって意味のある情報は、そのまま捕まえておくことができる。
しかし、全ての情報に意味を見出すことはできない。
右から左へ流れていく情報は数多い。
結局、自分にとっての「意味」となる情報の量は、出回っている情報の総量に比べてとてつもなく小さい。
しかし私の場合、悪いことに、情報に対する貪欲さが
なく、新聞やテレビで得た情報に満足しがちである。
なおかつ、そうして得た情報が非常に小さい量にすぎないという事実を忘却しがちである。
マスコミの情報は、意味として取り込みやすいように作ってあるから、素直な私はすんなり受け入れてしまう。
そして、情報の意味を自分の中に蓄積していく。
政治・経済など、身辺から得にくい情報については、特に新聞のお世話になる。
世の中についてのいろんな意味の断片は、組み合わされて未熟ながらも世界像のようなものへなっていく。
そして気づけば、世の中のあれこれについて、いっぱしの批評家の気分で感想を述べている。
自分の批評眼（のようなもの）を支えている世界像がどういう情報を元に出来上がってきたかを思い起こすこともなく。
世の中のあれこれについての情報がどれだけ小さい量の情報であるかにも意識を向けることもなく。
(本項Alfred筆)