Mussel Docking World

発汗、発光の末、発酵!をモットーに、音楽的な活動をする二人組、Mussel Docking (マッスル・ドッキング)のブログです。

「Time Will Tell」 宇多田ヒカル

16歳でデビューした宇多田ヒカル(当初、その名前の字面からは、宇治田みのるを想起したものである)が当時歌っていた曲の1つに「Time Will Tell」がある。初期3部作(と私が称しているのは、アルバム『First Love』、『Distance』、『Deep River』の3枚のアルバムのことであり、1998年から2002年までの5年間、20世紀から21世紀への変わり目であり、彼女自身が20歳になる直前までの時期の作品に相当。なお、彼女がライヴで歌唱した「I Love You」の歌い手として知られる尾崎豊も、宇多田と同じように10代でデビューしている。デビュー曲1曲だけで最大級の注目を集めた宇多田と違い、デビュー直後は全く注目されなかったものの、次第に人気を博すようになった彼は、10代のうちに3枚のアルバム、30曲を制作し発表しようという目標を掲げていたようである。だが、実際にはそれは半分しか叶えらなかった。と、いうのも、アルバムは3枚発表したが(『十七歳の地図』←中上健一“十九歳の地図”の影響下にあることをうかがわせる作品名である、『回帰線』、10代最後の日に発売された『壊れた扉から』)、3年間で発表された曲数は29曲だったからである)に収められた曲の中でも最初期の作品であり,おそらく彼女が15歳か16歳のころに作成したものだと思われる。

編曲の様態は、元の曲にシンプルな彩りを添えるだけの控え目なものであり、それゆえに歌詞がダイレクトにリスナーに伝わる。と、書いてはみたものの、そもそも最初期の彼女の作品は後年広がりを見せた言葉遊びの要素はまだ希薄であり、歌詞で書かれる内容や描かれる世界は読んでも聴いてもすんなりと意味を理解できるようなものばかりであるから、わざわざ編曲云々を持ち出して歌詞について言及しようという、しようとした、文章の流れは筆者=私の(この文章における)2つ目の失敗と言わざるを得ない。

さて、前置きが長くなることを蛇足ならぬ蛇頭スネークヘッドと呼ぶかどうかは知らないし、恐らくそう呼ばないのだろうということも薄々気付いているのだが、はてさて、長すぎる前置きの後に、筆者である私はようやく本題である「Time Will Tell」の歌詞について書き始めることができそうであり、読者である貴方(この二文字はいつも私に「貴乃花」を想起させる)にとっては読み始めることができそうだ、と言いたいし、書きたいし、そしてまた、こうして実際に書いた。

なお、「Time WilTell」は、彼女が2010年に歌手活動を休止し、人間活動に突入する直前に行った現時点での最後のライヴにおいて、最後に歌われた曲でもある。

この歌では、おおよそ以下のようなことが歌われている。

苦悩しても仕方ない、時間が解決してくれる。

(参考 http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=65347

たったこれだけのことである。強烈な既視感に見舞われるような内容である。主題である。
それをしかし15歳か16歳の人物が歌っているのであり、それを当時の彼女より20以上年上の、あるいはそれを初めて聴いたころの自分自身より15程度年上の今の自分が聴いて心揺さぶられるということを、一体どのように考えればよいか、ということを考える日々。