Mussel Docking World

発汗、発光の末、発酵!をモットーに、音楽的な活動をする二人組、Mussel Docking (マッスル・ドッキング)のブログです。

旅路での読書

旅先や旅行時の移動中に読む本で覚えているのは,『800』,『小学生日記』.川島誠,それからhanae*(現在は改名し華恵.)による著作であり,それぞれをタイのバンコク,それから中国の北京や上海にて読んだのだが,共に面白かった,非常に面白かった.
それに比べ,今回の東北旅行で読んだK太郎こと伊坂幸太郎『重力ピエロ』は,評判の高さから期待して読んだが,面白くないばかりか表現が空転していた,つまり切迫しているはずの主人公の話し振り/書き方/書かれ方から全く切迫感が伝わってこないというようなことが,何度も繰り返しあったのであるが,それでも推薦者の多さ(主に書店のポップなどだが)が読み進めることを支えた.
まぁ読み進めるのが苦行ということは全くなく,面白くないと言うのも,半分を読まずして犯人やら犯行動機がほとんど透けて見えてしまったことに起因するわけではなかったし....
さすがと思ったのは,最後の1/4あたりからの展開,そのへんの表現で,そのような印象ならば最近感じたばかりであるぞ,と思ったのだが,それというのは,雑誌新潮に掲載されていた『クロコダイルの午睡』島本理生を読み終えた時に抱いた印象だ.
文章は稚拙(伊坂氏,島本氏には大変失礼な言い方でホントすみません・・・・悪魔デモ小生の意見です)であるものの,その短編の最後,いわば最終コーナーを曲がったところからの加速というか表情の変化は,さすが!というものであった.

さて,この旅は9日に始まり11日に終わったのだが,K太郎を読み終えた後は『文章教室』金井美恵子を読み始めたが,半分くらいまで読み進めた今の時点ですでに,
こりゃもう文章の能力というか小説との向き合い方が半端じゃなく,プロ中のプロ,
読書量が極めて少ない自分が言うのはとても限定的であると知りつつも,
この書き手は当代随一の「素晴らしい」文章の書き手なんじゃなかろうか,
と言いたくもなる,今更ではあるが言いたくなってしまう,そんな誘惑にかられてしまうのである.