Mussel Docking World

発汗、発光の末、発酵!をモットーに、音楽的な活動をする二人組、Mussel Docking (マッスル・ドッキング)のブログです。

「リトル・フォレスト 冬・春」を見る前に「リトル・フォレスト 夏・秋」を見ました。

2月になりました。2月の半ばに公開される映画、「リトル・フォレスト 冬・春」を見る可能性がないとも言えず、もし見るのであれば事前に「リトル・フォレスト 夏・秋」を見ておいた方が良いであろうと思い、2月1日の今日、GEOではないレンタル・ショップで「夏・秋」のDVDを借りたのでした。

家族で成田に行こうという意向を有して家を出て、徒歩で京成の駅を目指して歩く途上、会話の中でふと飛び出した塩大福の話題がトリガーとなって、行先を成田から塩大福から想起された巣鴨の地へと急遽変更し、成田でうなぎを食すのではなく、巣鴨の地蔵通り商店街を歩こう、そして塩大福でも食そうではないか、というプランを立ち上げたのでした。
巣鴨から商店街を歩いて、塩大福は結局食したかったけれども食すことができず、しかし、幸福だんごという100円の団子を食すことはできたので、塩大福を食せなかったことがもたらす心理的欠損はそれにより埋め合わされました。

庚申塚駅から、SEKAI NO OWARI というバンド名の由来ともなった小説「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の作者としても知られる村上春樹の「ノルウェイの森」において、トマス・マン「魔の山」を愛読する主人公の青年が、ガールフレンドである緑の家を訪ねる際に乗車したことでも知られる、かつては41系統にも及ぶ交通網の体系を文字通り都内に張り巡らせたものの、現在はただ1つの路線のみとなってしまった都電の、現存する最後の路線である都電荒川線に乗って、三ノ輪駅まで行き、そこからバスに乗り換え、乗り換える前にはイトーヨーカドーを訪れもしたのですが、買い物はなにもせずに店を出て、明治通り沿いのバス停留所から乗ったバスで亀戸まで向かい、その後、電車に乗り換えて帰途に就いたのであります。

前置きが山鳥の尾のように長々しくなってしまいましたが、その、巣鴨散策 et cetera を終えた家路、厳密には最寄駅ではないものの、家から1km程度しか離れていない駅があり、その駅の前にあるボウリング場ヤパチンコなど遊技場を多く擁し、他には居酒屋やカラオケなどが入居するビルの2階にあるGEOではないレンタル・ショップに、立寄って冒頭に記した「リトル・フォレスト 夏・秋」を借りたのです。

五十嵐大介氏という非常に画力の高い漫画家の作品「リトル・フォレスト」を原作とする映画で、小森、すなわち“リトル・フォレスト”という名をもつ集落で、一人暮らしで自給自足をする若い女性の一人称視点と心理描写で描かれる、というものです。橋本愛氏が主演で、料理するシーン、田畑仕事をするシーン、食べるシーンがほとんど。小森での1年を描いた作品で、春編、夏編、秋編、冬編は、各々独立した作品として作られていますが、それは形式上のことで、つまり、ワン・シーズンごとに、オープニングとエンディングが存在している、のだけれども、夏編の後に続く秋編は、夏編の後の時間軸として描かれているので、そういう意味では春夏秋冬の4編で1作品ということになります。

ドラマと言えるような展開は皆無で、2年後輩の男性が町から集落に戻ってきた理由を語る夏編の終盤のシーン、秋編の最後に主人公の元に届く手紙など、僅かな場面を除けば、あとは、ゆったりとした時間の流れと、自然音、美しい映像、レイ・ハラカミ調の音楽で全編が彩られており、人畜無害な映画作品だとも言えます。
「めがね」、「かもめ食堂」などにも通じる、疲れた現代人を癒す、スロー・ライフ・ムーヴィーと位置付けることもできそうだと途中見ながら思いましたが、しかし、やはり、そのような決めつけ、枠に押し込むこと、レッテルを貼ることはしないでおこうと思って見続けました。正直、前述の如き決めつけをしてしまいそうになった時には、まだ夏・秋編の3分の1程度しか見ていなかったのですが、もうここで見るのをやめてもいいかな、と思ったのですが、結局最後まで見ました。
まぁ、私を途中で退屈な気持ちにさせたのは事実で、その気持ちは薄れはしましたが、しかし、物語に起伏がない作品なので、見る物を飽きさせない仕掛けをもっと組み込むべきではないかというのが僭越ながら私の意見です。
さて、でも、麗しい外見の主人公の仕草などなど、結構楽しめました。でも、それだけじゃ飽きてしまいます。
飽きられても構わない、分かるやつにだけ分かればよい、というような潔さが制作者サイドになるのかないのかわかりませんが・・・。

漫画原作を読んでいない身でこういうことを述べるのはいけないことだと思いますし、いけないことかい?by岡村靖幸氏を私自身好きなのですが、漫画原作が恐らく持つであろう、大地の恵みを称えるということ、敬意を持つことの大切さ、というメッセージはきちんと伝わりました。説教臭くなく、素直に自主的にそう感じることができましたが、それもこれも、さすがの私ももう大人である、そろそろ次世代のため、未来のために何をすべきか、したいか、なんてことをも考えだしているので、そうしたこともあってのことだとは思います。
自分で料理を作ってみようかな、というようなことを思ったのも事実です。

「めがね」的な映画を別に嫌ってはいませんし、「かもめ食堂」も、確か「めがね」も、映画館で見て結構楽しんだ気はします。

ということで、昨年12月以降の映画鑑賞記録を最後に付記して、この項を閉じます。

■映画館で見た作品

1218 インターステラー
1228 ゴーン・ガール
0107 シンプル・シモン
0107 チョコレートドーナツ
0110 寄生獣
0117 6才のボクが、大人になるまで。
0120 海月姫
0125 さよなら歌舞伎町


■レンタルDVD等で見た作品

1229 苦役列車
1230 SRサイタマノラッパー
0103 この空の花
0108 探偵物語
0111 メメント
0114 ドライヴ
0117 ルパン三世カリオストロの城
0117 グランド・ブダペスト・ホテル
0118 ビッグフィッシュ
0119 そこのみにて光輝く
0124 男はつらいよ
0125 コンタクト
0131 WOOD JOB ! 神去なあなあ日常
0131 小さいおうち
0131 続・男はつらいよ
0201 リトル・フォレスト 夏・秋